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しおかわ ゆき

塩川 由紀 さん

卒業年:

1990年

 

現在の勤務先:

東京大学・図書館

仕事内容:

司書

受け継がれゆくもの

図書館にはたくさんの本や資料が保管されている。古の人々によって作られたそれらは、やがて未来の人々の元へと渡る。図書館はそうして時空を超えた人々とかかわりながら存在している、と彼女は言った。学生時代は図書委員会や文学部に所属し、その活動として文章を書いたり部誌を発行したりした経験が後の仕事に役立つことになる。また、幻想文学が好きで伝説も調べていた。サークルの課題で読んだSF作品には目から鱗。様々な種類の本を読むことは、とても良い経験となるものだ。

司書になったのも本好きが高じてだった。実際司書になってみると、自分が本を読むような仕事は少ない。古い資料の整理や保管といった見えない仕事に費やす時間が多かった。経年変化の他、雨漏りなどの図書館の設備の不備や人の利用によっても本は傷んでしまうため、古い資料は特に保存・修復方法に気を遣う。その技術は常に発展していく。科学技術を用いたり、電子化により図書の形を変えたりしているが、ものに合った保存・修復を追求することは変わらない。何よりも大切なのは『残す』という意志である。

資料を求める来館者は多い。資料探しに携わることで自分も様々なことを学ぶ。それが仕事のやりがいの一つであるという。「興味を持ったことは今のうちにやって、また、色々な人とお話ししてほしい。」今の高校生へのメッセージだ。大人になったら時間はない。学生時代の経験は、良きものとして己に残る。「未整理の資料を整理し、研究に役立ててもらえるようにしたい。」未来の人々のため、過去の人々が築いたものを遺すため。彼女の意思もまた、いずれ受け継がれていくのである。

​1年4組 女子・女子

図書一筋に歩む

大宮高校生時代に所属したのは、図書委員会、文学部、社会科研究部。そこで蔵書点検や映写会の企画、部誌の発行など、図書に繋がる多くの仕事に携わった。当時から本が好きだった彼女は、明確な夢はないまでも、導かれるようにして司書の道へ。当時過去問の存在しなかったその試験を突破するため、本屋でのバイトの傍ら、図書館史から時事、パソコンの扱いに至るまで、求められる知識を叩き込んだ。晴れて司書となった後も、図書館の合併や、改修工事などの理由で引っ越しをしたり、ほかの図書館へ異動になったり、一所には落ち着かなかった。それでも「私の要望はほとんど叶えられていますし、幸せ者ですね。」と笑う。

そんな彼女の仕事である司書の仕事は、実は私達の目に触れていない部分の方が大きい。本を貸し出したり書架に並べたりすることはもちろん、本の購入や寄贈された本の受け入れ、データ整備、利用者教育、広報、総務……。その上驚いたことに、偉くなればなるほど、実際に本に触れる回数は減っていくのだと言う。

現在では電子ジャーナルやオープンアクセス誌の普及により、雑誌架が空っぽになってきている。加えて他の書籍も電子化が進む。「私は使い分けています。小説は電子、漫画は紙というように。自分の求めるスピードで読めないのが嫌で。でも、紙の小説にも、目が疲れないとかページをめくる動作とか、魅力はありますから。選択肢は残してほしいですね。」 たとえ本の姿は変わっても、その心はずっと本と共にあり続ける。

​2年9組 女子

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